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日焼け(sunburn,suntan)
 太陽光線中に含まれる紫外線を肌に浴びることによって、肌が急性皮膚反応を起こすことが日焼けです。日焼けは、皮膚が赤くなったり水疱などの炎症を伴う日光皮膚炎(sunburn)と、皮膚の赤色が消えた後に黒褐色になる炎症後色素沈着(suntan)とに段階区別することができます。

日焼けの症状と経過
 日焼けの症状としては、まず太陽光線を浴びた数時間後に、紫外線を受けた部分の肌が赤くなります。この症状は、浴びた光線の量に応じては、しだいに浮腫性となり、ときには水疱(みずぶくれ)になることもあり、焼けるような熱さやずきずきするような痛み(疼痛)を伴います。通常この反応は12〜24時間後をピークとして次第に弱くなってゆきます。その後2〜3日経過してから数日でサンタンの症状が始まり、約1週間後にピークになります。すると皮がむけ、色素沈着を残して治癒するようになります。
 サンタンの程度も個人・人種による差が大きいのですが、人によっては翌年まで残ることもあります。またサンタンはその経過において第一次黒化と第二次黒化に分類することもでき、前者はUVAおよび可視光線照射直後にその症状が起こり始め、後者はUVB照射後数日して始まるものをさします。

日焼けの単位
 皮膚が赤くなるような反応を起こすのに必要な日光の最小照射量をMED(minimal erythema dose)と定義しますが、これは各個人によって差があります。日本においては、真夏の関東周辺の海岸において約20〜25分太陽光線を浴びると1MEDを受光したことになり、1時間あたりには3MEDを受光することになります。一般的には、かゆみや軽い痛みを伴う日焼けでは4MED、みずぶくれができるようなケースでは8MED以上を連続して受光したものと考えることができます。

日焼けはなぜ起こる?
 それでは、日焼けはなぜ起こるのでしょう。
 地球が受ける太陽光線には様々な波長の光が含まれています。そのなかの波長の短い領域には紫外線があり、これが日焼けの原因になります。太陽光線含まれる紫外線は、その波長によって長波長紫外線(UVA,400nm-320nm)、中波長紫外線(UVB,320nm-290nm)、短波長紫外線(UVC,290nm-200nm)の3種に分けられ、波長が長くなるにしたがって、皮膚の深部にまで到達するようになります。
 人間の皮膚の外側には角質層と呼ばれる角質の細胞の薄い層があります。この層の厚さは約30ミクロンあり、その下にはマルピギー層という50ミクロンほどの層があります。これら2つの層は一緒になって表皮または外皮をつくっています。さらにその下にあるのが約2〜3ミリの厚さの真皮または主皮と呼ばれ、小さな血管や神経が埋もれている部分になります。主に中波長紫外線:UVBは、表皮を突き抜けて真皮にまで浸透し、そこでアミノ酸が血管を拡張させる物質に変わるような化学反応を起こします。この反応によって生成された有害な物質が皮膚を赤くし、ひどくなるとみずぶくれを起こすもととなります。ときに日焼けは、皮膚の一部が破壊され皮がむけるほどひどくなることもあります。
 もう一つの化学反応としては、長波長紫外線:UVAが関係するものがあります。これらは、他のアミノ酸、チロシンを、複雑な反応を通して、メラニンに変えます。生成されたメラニンは上述のマルピギー層に蓄積されます。メラニンは茶色の色素で、それができると日焼け色になるのです。サンタンのことを遅延型黒化(Delayed Tanning :DT)ということもあり、このDTは皮膚内に新たにメラニン色素が形成された結果なのです。
このメラニンという物質は、それが新しく形成場合、また以前から自然に存在していた場合のどちらにおいても、短い波長の放射に対する防御の役をつとめます。したがって短い波長は、皮膚の黒い人の場合は、マルピギー層の下にはたくさん通過しないのです。

日焼けの原因「紫外線」(ultraviolet)
 太陽から地球に届く太陽光線のうち、可視光線範囲の波長の短い方の限界の外側に、紫外線の範囲があり、その波長によってUVA,UVB,UVCに分類することができます。このうちUVCは大気中のオゾンによって吸収され、地上にはほとんど到達しません。地上に到達する紫外線の強さは季節・時間・地理的条件、また気象条件によって変化し、地理的には太陽に近い赤道付近ほどUV量が多くなり、北半球においては夏至の前後5〜7月がもっとも多くなります。しかし日本においては夏至のころが梅雨にあたっているために、実際観測されるUV量は5月がもっと多く、次いで7月、8月の順になっています。時間的には正午の前後1時間がきわめて多く、真夏の晴れた海岸などではこの2時間に約6MEDのUVを受光することになります。またUVは大気の薄くなる高地ほど多くなり、その割合は標高100mごとに1.3%の増加となっています。上空から降り注ぐ紫外線に加えて、それが地表で反射した反射紫外線の量もかなり大きいものがあります。たとえば地表面から1.5mで観測した結果では、雪面が最も大きく70〜80%、特に新雪ではほぼ100%に近い反射率があります。水面では波の状態によって違いがあるのですが、5〜20%、砂地は乾いた状態で8〜17%、湿った場合は約4%です。そのほか、コンクリートで5.5%、芝生で1.2%という観測結果があります。したがってスキーや水上スポーツなどでは、この反射紫外線の影響も考慮しなくてはなりません。
 また紫外線は太陽から直接到達するものと、これら途中散乱されてくるものの合計値であり、傘などで日差しを遮っても紫外線が完全にカットされるわけではありません。天気によるUV量は快晴のときに比較して、うす曇で65%、曇り空で約30%程度という統計もあります。

日焼けの健康への影響
太陽光線に長くさらされると、皮膚の角質が厚くなり、深い層に通過する放射量が減少するような保護反応が起こり、わずかしか日焼けが起こらないという体質になることもあります。人によっては、皮膚が厚くなる結果、しわが寄り、年をとったような印象を与えるようにもなります。また紫外線の中でも波長の短いものは皮膚ガンをも引き起こす原因ともなるので注意が必要です。
この種のガンは、色素沈着の少ない人や、色素沈着のない人々にとっては危険なものです。もちろん紫外線放射は、皮膚ガンの原因のひとつにすぎず、気象条件には関係しない多くの皮膚ガンもあります。
しかし紫外線には、体内におけるビタミンDの生成、吸収を促進させる働きもあることが確認されており、特に骨格がまだ形成されつつある成長中の子供の健康には不可欠のものなのです。

有害な日焼けを避けるには
 紫外線を避けるためには、衣服・帽子・傘などによる遮断、サンスクリーン剤を塗布する方法などがありますが、皮膚への副作用など考えると、衣服による方法のほうが望ましいといえます。しかしこれも完全なものではなく、できることならば両者を併用すると大きな効果が得られます。
サンスクリーン剤にはUVを吸収するタイプと散乱させるタイプがあり、吸収剤はパラアミノ安息香酸およびその誘導体で主にUVBを吸収する仕組みになっています。また散乱剤には二酸化チタンなどの粉末剤が使用され、主にUVAを散乱させる働きがあります。サンスクリーン剤には、その効果の目安としてSPF(Sun Protection Facter)という指数がつけられており、この数値は防御効果を示しており、数値が大きいほどその効果は大きくなります。SPFの数値は上述のMEDにほぼ対応しており、SPF3では3MEDに耐えるということで、日本においてほぼ1時間のUV照射に耐えられることを意味しているのです。