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気象病(Meteorotropic disease)
 気象の変化によって発病したり、病状が悪化したりする病気、すなわち病状の変化が天候と密接に結びついているような病気をさして「気象病」と呼びます。別名お天気病と呼ばれたりする場合もあります。
 これに対して、特定の季節に発病したり、また症状が悪化する病気のことを「季節病」と呼んで、気象病とは区別しています。
 人の体は、気象の変化に対して調整機能を発揮しますが、その調整能力が不充分な場合には、いろいろな心身変化が起こり、これが病気にまで進行してしまうことがあります。気象病を起こすような気象条件としては前線、特に寒冷前線の通過やフェーン現象などが挙げられます。寒冷前線が通過するときには風向きが急に変わったり突風が吹いたり、また前線の通過後は気温の降下や気圧の変化がみられます。またフェーンに伴っては気温の上昇や気圧の変化、湿度の急変などがあり、これが気象病を引き起こす要因となると考えられます。
 気象病の典型的な例としては、傷跡が痛んだり、リウマチ、神経痛、心筋梗塞、血栓、気管支喘息、急性虫垂炎、胆石、感冒、脳出血などがあります。また難病の一つに数えられるベーチェット病の発作や自殺を含む精神障害なども気象変化と関係が深いと言われています。

季節病(Seasonal disease)
 特定の季節に多発したり、症状が悪化するものを季節病と呼び、その典型的なものとしては肺炎、気管支炎、脳卒中、心臓病などがあります。季節病の中には、感冒のように気象病の性格を兼ね備えているものもあります。季節病を大別すると
(1)季節的な気候の変化自体が発病、または症状の悪化の原因となるもの(脳卒中、心臓病など)
(2)季節的な気候の変化により身体に異常が起こったため、細菌に負けて起こるもの(流感、肺結核、チフス、赤痢など)
(3)細菌を媒介する動物、昆虫などが季節の変化を受けて起こるもの(マラリア、発疹、チフス、日本脳炎など)
の3種類になります。
 昔は気候や季節の影響を受けて、死亡や発病に分布する季節が決められましたが、冷暖房設備の普及など社会の進歩とともにその分布の時期が著しく変化しています。

気候順応
 人間が移動し、新しい土地に移り住んだとき、その土地の気候環境に順応してゆくことを「気候順応」または「気候馴化」といいます。「風土馴化」という言葉もこれに近い意味に使われます。
 それまで住んでいた土地から新しい土地へ移動し、それまでとは違った気候になると、人間の生理機能に変化をきたし、それが安定して十分な順応をみせるのには長い年月を要します。しかし、順応能力は生理機能の変化によってのみもたらされるものではなく、人間の衣服や住居、生産活動などをとおして様々な気候に順応してきているために、その根底となる社会や経済の条件や技術などの条件も適応するための重要な条件となります。
 気候順応の一例として耐暑性をみてみると、日本人の耐暑性は欧米人に比べると強いといわれています。様々な土地に住む人の汗腺数を比較し、耐暑性を表す目安とすると、日本人は熱帯地方の原住民よりは少ないのですが、寒冷地に暮らすロシア人に比べるとその数が多いことが調べられています。また成長過程による比較を行うと、成長した後に熱帯へ移住した日本人は、そこに多年在住したところで、汗腺数は日本在住の日本人と同数でその数に増減の変化傾向はみられないが、現地出生者はそこの住民同様、多くの汗腺を持ちます。これは2歳以下の幼児には汗を分泌する感染数が著しく少ないけれふども、生後2年6ヶ月を越える頃になると能動汗腺数が固定化し、年齢による差がなくなることを示しています。つまり、この2年間を熱帯で暮らすと、気候順応によって能動汗腺数が増加するけれども、それ以上の年齢ではその数が固定化してしまい、変化が少ないということになります。また気候順応として注目すべきところは、熱帯原住民の汗における塩分含有量は0.1%内外のクロール量を示すに過ぎないほど非常に少なく、これは日本人の塩分含有量に比べると約3分の1程度の量になります。
 社会環境の変化によって最近では冷暖房設備が普及したことによる人工気候下での生活が、自然の気候への順応能力を低下させるという見解があり、注目すべき変化です。